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この記事の概要
不動産業者が宅地建物取引業法上の守るべき義務の判断基準として、事故等が生じた居住用不動産の取引について対応可能な範囲での告知が一般的に妥当と考えられるものを整理した内容となっています。
ただし、本ガイドラインは、宅地建物取引業法上のもので、民事上の心理的瑕疵に関するものではありません。よって不動産業者は、本ガイドラインの義務を果たしても、民事上の責任を負うことがありますので注意が必要です。
また、今後の超高齢化社会という社会構造の変化の中で高齢者の住まいを如何に確保していくかが大きな問題になっています。その解決策の一つとしてこの告知に関するルールが大きな意味を持ってきます。
賃貸借取引における告知対応は下図のとおりです。
つまり、事案発生からの経過時間と事案の種類・発生場所によって判断が異なるということになります。
これらを鑑みると、これからは賃貸人や不動産会社は、「誰にでも起こりうる万が一の事態」に備えて早期発見できる体制づくりに力を入れることが重要です。具体的には、賃借人と日常的に連絡を取り合ってくれる身内を確保することや機械的な見守りシステムを導入することが考えられます。特に見守りシステムは多種多様なものが商品化されおり、使い勝手や費用も様々です。どのような対策がとれるか、今のうちに調べておくことをお勧めいたします。
賃貸借取引の際に不動産業者は、取引する物件に対し、事故等の存在を知ったときには、本基準に従って、賃借人に告知するか否かのアドバイスを賃貸人に行います。具体的には、事案の発生時期(特殊清掃が行われた場合には発覚時期)、場所、死因(自然死・他殺・自殺・事故死等、不明に場合はその旨)、特殊清掃が行われた場合はその旨について不動産業者が賃貸人・管理業者に照会した内容をそのまま賃借人に告げる方法によって行われます。
ガイドラインがあれば、今までのように事案が風化してもなお、いつまでも告知し続けるということがなくなり、健全な運用がなされることが期待できます。賃貸人にとっては告知の曖昧さがなくなり、より良い対策を講じることが可能になることで、安心して賃貸経営が行えることになります。
最後になりますが、これからもこのガイドラインは新たな判例や取引事案の変化、社会情勢や人々の意識の変化に応じて適宜見直しを行うこととされています。今後のガイドラインの運用に注目していくようにしたいものです。
中村 賢治
多岐にわたる不動産業務経験と投資用不動産仲介支援業務の中でお客さまの様々なニーズにお応えしてきた経験を持つ。現在は、賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントにおいて、オーナーさまからの賃貸管理、土地有効活用、建替えなどのご相談をお受けする業務に従事。金融機関主催のセミナー、営業職向けの不動産勉強会等の講師を多数実施。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2024年5月30日本編更新時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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